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「人口動態分析」から読み取る賃貸住宅の今後の動向
カテゴリ:業界NEWS  / 投稿日付:2023/11/24 09:06

 

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「人口動態分析」から読み取る賃貸住宅の今後の動向

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総務省が7月26日に、住民基本台帳に基づく、2023年1月1日時点の人口動態調査を発表しました。人口動態はすべての経済活動の基本になるデータですが、その調査結果から今後の賃貸住宅の動向について考えてみましょう。

 

日本の人口減少が本格化してきて高齢者の絶対数も減少に転じた

 

 外国人を含め、2023年1月1日時点で、日本の人口は1億2,541万6,877人でした。2022年1月1日から約51万人減少したことになります。その内訳を見ると、日本人は1億2,242万3,038人で約80万人の減少、外国人は299万3,839人で約29万人の増加でした。

 

図表1

 

日本人の減少は昨年が61.9万人、一昨年が42.8万人というように年々減少傾向にあり、今年の80万人減は過去最多で、都道府県別に見ると、昨年はプラスだった沖縄もマイナスとなり、全都道府県で人口が減少していることがわかります。

 一方で、人口の多い上位8つの東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県、千葉県、兵庫県、北海道の人口は、日本全体の半分を超える50.75%を占めていて、都市部の人口集中は相変わらず続いています。

 人口の増減は自然増減と社会増減に大別されます。自然増減は出生数と死亡数の差し引きで求められるもので、今回の調査では日本人の自然増減は79万3,324人の減少でした。これは15年連続で減り続けており、調査開始以来最も大きな減少でした。

 2022年の日本人の出生数は77万1801人で、1979年の調査開始以来最少です。一方、死亡者数は156万5,125人で過去最多となりました。

 また日本から海外への転出者数と、海外から日本への転入者数の差し引きを示すのが社会増減ですが、日本人の社会増減数は7,199人の減少でした。これに対して外国人の社会増減数は、ここ2年ほどは新型コロナウイルスの影響で減少していましたが、2022年は28万1,425人の増加に転じています。

 次に世代別の人口動態を見ると、かねてからいわれているように、少子化の影響によって、15歳未満の日本人の人口は、1994年の調査開始以降、毎年減少傾向をたどっています。1995年時点における15歳未満人口は全体の15.95%でしたが、2023年時点では11.82%となりました。

 一方、65歳以上の人口は3,589万人で、調査開始以来増加傾向をたどってきましたが、今年初めて減少しました。それでも全日本人に占める割合は28.62%で過去最多であり、1995年の14.56%と比べると約2倍に増えています。

 

図表2

 

 これは超高齢社会が、いよいよ後半戦に差し掛かったことを意味します。2025年には団塊世代が全員、75歳以上の後期高齢者になることもあり、今後は高齢者の死亡が増えることになるため、老年者総数は減少していくものと考えられます。

 

住宅の将来動向を考えるにあたっては人口そのものよりも世帯数の増減が重要

 

 いうまでもなく、このような人口の減少は、GDPの下押し要因になりますし、不動産市況にも影響を及ぼします。

 たとえば、労働に携わる「生産者年齢人口」が、将来的に大きく減少するとなれば、オフィスを含む商業用不動産の市況にはマイナスとなります。ただ、現在の生産者年齢人口の定義である15~64歳が、はたして現実的かどうかを考えることも大事です。近年では70歳まで働くのが当然という認識もあり、そこからすれば、生産者年齢人口の実質は18~70歳と考えられます。ここしばらくは、意外と生産者年齢人口は減らず、案外、商業用不動産市況への影響は中立かもしれません。

 では、住居については、どのような影響が及ぶでしょうか。

 まず注目していただきたいのが世帯数です。2022年の世帯数は6,026万6,318世帯で、初めて6,000万世帯の大台を突破しました。人口は減少しているのに、世帯数は増加の一途をたどっているのです。

 

図表3

 

 1世帯平均構成人員は2.08人で、こちらは減少の一途をたどっています。それだけ単独世帯が増えていることを意味します。ちなみに1968年当時の1世帯平均構成人員は3.76人でした。

 なお、都道府県で見た場合、1世帯平均構成人員の少ない都道府県で1位が北海道、2位が東京、3位が高知県でした(1世帯平均構成人員が多いのは、福井県、山形県、富山県の順でした)。

 

図表4

図表5

 

このようにトップ3に大都市圏と、人口流出県が並んでいるものの、大都市圏の場合、特に東京はそうですが、独身者が多いことから単独世帯が多く、一方で高知県のような人口流出県においては、子供が独立して大都市圏に出ていき、老夫婦の2人世帯で、いずれか片方が亡くなって単独世帯になるというケースが多くを占めていると思われます。

 単独世帯が増える半面、世帯数全体が増えるとすれば、賃貸住宅需要は決して悪くはないと考えられます。

 ただし、求められる住宅は変化します。単独世帯が増えるわけですから、それに合わせた住居が必要です。

 とはいえ、単独世帯=ワンルームということではありません。未婚者や離婚者が増える一方、若年層が減るのだとしたら、ワンルームよりも30~50㎡程度の広さを持つ1LDKや2DKといった間取りが、これから求められるのではないでしょうか。あるいは、これから高齢者が激増するのが都市部であることを考えると、都市部においては1人暮らしの高齢者住宅に対するニーズが一段と高まると思われます。

 

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本日は以上となります。

 

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次回もどうぞお楽しみに!

 

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